第二関節の背面でエレベーターのボタンを押してもあまり意味ない!
コロナの感染対策として、エレベーターなどのボタンを押す時は第二関節の背面で押すというやり方を聞いたことがあるかもしれません。あまり効果は期待できないのですが、なぜこういったことが行われているのでしょうか。第二関節に付着したウイルスはすぐに死滅するなんていう都合の良いことは残念ながらありません。
人間は平均1時間で20回以上多ければ50回程度顔を触る報告されています(1, 2)。コロナウイルスの流行により人々がマスクを着けるようになったこともあり、顔を触る回数は以前よりも減少していますが(3)、顔を触らないようにするということは思った以上に難しそうです(4)。 第二関節でボタンを押す人の心理としては、指先で顔を触ってしまってウイルスを広げてしまうのを防ぎたいということなのかと思いますが、本当に指先でなければ顔にウイルスをつけることはないのでしょうか。 指先を鼻に突っ込むなんて下品なことはしません!っていう人もいると思いますが、人が顔を触るのはそれだけではありません。 中国からの報告で人が顔や頭を触る時にどのように触るのかを見たデータがあります(5)。この図は10個の良くある触り方を示しています。3番, 6番, 8番の絵を見ると手の甲が顔に接触しているのが分かります。特に3番はまさにボタンを押す関節と鼻が接触しています。当然国によって触り方などは異なると思いますが、これらは皆さんやったことか無い人はいないのではないでしょうか。
関節であろうが、手のどこであっても何かを触った後は手指消毒をするという習慣を持つことが大切です。最近はお店でもアルコール消毒を設置しているところは多くはなっていますが、入店時のみ消毒すれば十分というわけではないことと、外ではいつでもどこでも消毒できるわけではありません。そういった時には携帯用の手指消毒液が有効です。薬局やインターネットでも色々販売していますが、アルコールは最低でも60%以上のものを選ぶようにしましょう(6)。
(参考)
1. Kwok YL, et al. Am J Infect Control. 2015;43(2):112-4.
2. Rahman J, et al. Ann Glob Health. 2020;86(1):75.
3. Chen YJ, et al. JAMA network open. 2020;3(7):e2016924.
4. Senthilkumaran S, et al. Indian J Crit Care Med. 2020;24(8):662-3.
5. Zhang N, et al. Scientific reports. 2020;10(1):10457.
6. Centers for Disease Control and Prevention.
(URL: https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/disinfecting-your-home.html)